人生の軌跡・流郷松三郎の残思録

米寿に想う我が人生

1970年の秋【14】

初の海外旅行【14】イギリス訪問(2)

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        ロンドンのスプーン

 ヒースロー空港で入国手続き完了後、5人乗れるロンドン・タクシーに分乗して市内中心部を通り抜け、5泊6日間のロンドン滞在拠点となるハーレムホテルに到着した。

 場所はピカデリーサーカスからリージェント・ストリートを通り抜け、オックスフォード・ストリートとの交差路点を抜けてリージェンツ・パーク近くまで進んだ一画で、周辺は既に住宅街と云った雰囲気であった。

 ハーレムと云う名前からどんなホテルかと思いを巡らせていたが、近代的なストックホルムのホテル、伝統的なブリュッセルのホテルと較べて格段の差が付く貧相なホテルであった。

 通りに面して中地下室が設えられたイギリス風の集合住宅と云った風情の建物で、これといった玄関もなく扉を開け中に入るとそこがホテルのフロントとなっていた。

 

 

 5階建てほどの建物で狭い螺旋階段を中心に両側左右に部屋が配置されており、余裕なスペースの全くない木賃宿であった。ホテル代の心配はなく、これまでの超過分をカバー出来るのは間違いないが、全行程中最長の1都市5泊のホテルライフが味気ないことになりやや気落ちした。

 宿泊したのはツインで、部屋が何階であったか記録してないが、螺旋階段を下りる時に他の部屋のドアが開いており中が丸見えであったのも頂けない安宿風景であった。

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    中央の建物が宿泊したハーレム・ホテル

 上の写真がリージェンツ・パーク近くの街並みで、中央の5階建てハウスが我々の宿泊したハーレムホテルである。

 ロンドンでは公式訪問が3回設定されているほか、日程上で土日が入るため5泊6日という余裕のある滞在で観光や史跡巡りも予定されていた。

 初日は午後3時頃からホテルを出てオックスフォードストリートを中心に伝統あるロンドンの街並みを散策したが、これまでの北欧やベルギーと異なり、やはり世界の大都市で活気に満ちており、土曜日という事もあって商店も通りも多くの人で賑わっていた。

 特に気が付いたのがアフリカ系の黒人やアラブ系の人々の多さで、これが人種のるつぼと云われているロンドンの姿かと直感した。

 

夕食はやはり中華となり、そのあとレイモンド・レヴューというショウを観てヨーロッパの歓楽気分を味わい、侘しいホテルに帰着した。

 冒頭のスプーンは翌日曜日午前中にオックスフォードストリートの土産物店で見付けたもので、素材はアルミ合金に近く、上質ではない。

 但し頭部飾りはイングランド国旗のセント・ジョージクロスでイギリスの伝統的デザインとして世界に冠たるロンドンの紋章である。

 訪問国スプーン集めが順調に進み、5本目となった。団員の皆さんがぼつぼつ私のスプーン集めに気が付き、店先で見付けると教えてくれるようになりコミニュケーションの向上に役立った。