人生の軌跡・流郷松三郎の残思録

米寿に想う我が人生

1970年の秋

初の海外旅行【42】イタリア訪問(4)ナポリポンペイ遺跡

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ナポリ市街の眺望と遥かなるサンタ・ルチア

 1970年11月8日(日)一日観光でバスをチャーターし、イタリア半島を南下、ナポリポンペイ遺跡見学に出発した。季節は晩秋を迎えていたが温暖で南北に長いイタリアでは紅葉は余り見かけずローマから南では周辺の景色も緑に満たされていた。
 確か太陽道路と云ったと記憶しているが、ドイツのアウトバーンとは比較にならない通常の国道で、それでも直線が多いためバスは快速で疾走した。

 途中一帯は平原地帯で田園風景が多い中、一際目立った山岳に目を奪われたが,第2次世界大戦末期に連合軍と激戦が繰り広がれたモンテ・カッシーノであると説明され、破壊された砲台の跡地等を遠望しながら通過した。

 2時間半ほどのドライブでナポリの街に到着した。遠目にはきれいな建物が並んでいたが近付くと雑然としており、小路では窓からの洗濯物で満艦飾の如き盛観に驚いた。

 海辺の小高い丘に登りナポリの街並みとサンタ・ルチア海岸を写真に収めたあと海岸のレストランでテノール歌手のナポリ民謡を聴きながらイタリア料理を楽しんだ。

   ナポリの丘上から望んだヴェスビオス火山の噴火に沈んだポンペイ遺跡見学が当日の最終目的で、再びバスに乗り込みローマ時代の面影を求めて街道を快走したが、途中にあるカメオ工場直売所に立ち寄ったのが運命の分かれ道で残念な結果が待っていた。
 カメオはイタリアの名産で女性の装飾品として珍重されているので、それぞれ奥さん方へのお土産に最適と思って品定めに熱中した。下の写真は家内への土産として購入したカメオのブローチと自分用の部屋飾りである。

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ポンペイ遺跡近くのカメオ工場で購入したブローチと部屋飾り

 あとはポンペイ遺跡見学のみと勇んでバスに乗り込み走る事30分ほどで遺跡の前の駐車場に到着した。当日はガイドが付いておらず運転手が代行したが、先降りして入り口に向かった後に悄然とバスに戻ってきた。午後3時を過ぎているため既に閉門し遺跡に入場できないという返事を持ってきた。ポンペイ遺跡の見学は期待が大きかっただけに全員一瞬唖然としながら、カメオ工場での時間消費を悔しんだ。わざわざローマから、いや日本から時間をかけてやって来たのに目の前に来て入る事が出来ない情けなさ悔しさが全身を駆け巡っていた。

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午後3時過ぎに到着したポンペイ遺跡の駐車場・正面内部が遺跡の街

 閉園時間に間に合わなかった責任を感じた運転手が、遺跡の外にある個人所有の廃墟に交渉した結果、見学可能となり狭い範囲ではあったが入室して2000年前のローマ人の生活環境を目の当たりに出来た事がせめてもの慰みであった。

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ポンペイ遺跡外周の個人邸宅内部・部屋区分と室内壁画