人生の軌跡・流郷松三郎の残思録

米寿に想う我が人生

帆船大好き

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見る船・乗る船・作る船〔14〕

見る船〔9〕パリ海洋博物館  1988年6月8日頃

 パリはセーヌ川下流シャイヨー宮の一画にフランスが誇るパリ海洋博物館がある。

 すぐ側にはエッフェル塔が立ち,宮殿の高台広場からはパリ市内が一望できる絶好の景観場所である。イギリス・ロンドンのグリニッジ海軍博物館で帆船模型の大展示に圧倒された後に訪れたが、規模は違うものの展示内容・展示方法が異なり館内のムードも一変して豪華さが漂っていた。

 入館してすぐ目の前に現れた帆船模型の大きさ、精巧さに先ず圧倒された。船名を今思い出せないがフランス海軍の戦艦が船腹2層に大砲を並べマストヤードを高く聳えさせて展示されていた。下の写真がその帆船である。

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館内は天井が高くスペースもゆったりしておりゆっくりと見学が楽しめる。

 次の部屋に見えている小型の船が煌びやかに輝いており気になってくる。模型ではなく実船の様で、移動してみたら王様の御座船であった。下写真の左上と右下がその船で船首に付けられたフィギュアヘッドが立派であるとともに櫂をすべて立ち上げた姿態も見ごたえのある展示であった。

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 展示されているのは完成模型だけではなく大型の船体構造もあり、帆船模型製作者にとってはどれも見逃せない逸物揃いであった。

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 船体模型の他にマスト材やヤードなどの実物や航海器具類、海図、遺品なども多く展示され更に広い壁面には海戦絵画や人物像なども展示されており、充実した内容に満足した。


 

 

 

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見る船・乗る船・作る船〔13〕

見る船〔8〕グリニッジ英国海軍博物館 1988年6月8日頃

 テムズ河畔のグリニッジ埠頭公演でカティーサーク号を見学した後、帆船模型宝庫のイギリス海軍博物館を訪れた。

 正面から眺めた海軍博物館は下の写真の如く威風堂々とした素晴らしい建物で流石に7つの海を制覇したイギリス海軍の本拠地の貫禄を誇っていた。背後の丘の頂上に見えるのが世界の標準時刻始点であるグリニッジ天文台で東経・西経0度の位置に立っている。まさに記念すべき地点で気分も高揚した。下右の写真の中央丘の上の白い建物が天文台である。

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 海軍博物化は左右両ウィングがあり。半日では回り切れず右側だけで満喫したが艦船模型をはじめ海図・地図、航海図、操船具、海洋絵画、軍人・航海士肖像等々無尽蔵と云えるほどに収蔵展示されており、規模の大きさに驚嘆した。

下の写真2枚は数ある帆船模型の中から見つけたビクトリー号とカティサーク号の模型で、私の作る船の見本として立ち尽くして眺め、イメージを頭に叩き込んでからカメラに収めてきた。

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  次々に現れる船には年代や造船や海戦や提督の名前など船の経歴が示されているが、すべて英語であるため概略を理解するだけで一杯であるが、帆船模型ファンにとってはどの船も垂涎の的で見惚れながらの見学に終始した。

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 一段と際立った部屋に飾られていたのが英国王室の御座船であった。暗い照明のもとで金箔の御座所がきらびやかに輝いていたのが印象的であったが、河船でありテムズ河での遊覧を描写したヘンデルの水上の音楽や王宮の花火の音楽の情景が瞼に浮かぶ華麗な船であった。

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海戦の模様を絵が空いた絵画が沢山飾られており、時間がない中で数点を撮影した。トラファルガーの海戦の絵であったと思うが良く分からない。   

 

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 模型は完成船だけでなく、造船途中の構造やリギングやカットモデルなど模型製作者にとって貴重な資料が展示されており、いずれも飽きることなく観察した。まさに見る船の醍醐味を満喫したグリニッジ海軍博物館であった。

 



 

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見る船・乗る船・作る船〔12〕

見る船〔7〕カティーサーク号 

      イギリス ロンドン グリニッジ埠頭公開

   乗船見学 1988年(昭和63年)6月8日頃

 木製帆船模型製作に取り組んで以来、夢見ていた海外の保存実船見学の旅が遂に実現した。最初はイギリスである。大航海時代に世界の七つの海を制覇したイギリスが誇る戦艦ヴィクトリー号に憧れ製作を前提にした事前準備として訪問を計画した。主目的地は軍港ポーツマスであったが、併せて目指したのがロンドンのテムズ河畔に保存されている快速帆船カティーサーク号とその背後の丘に君臨している海軍博物館の見学であった。今回は偶々カティーサーク号の紹介に止まるが海軍博物館に陳列されていた艦船模型の数々は圧倒的な迫力で帆船模型初心愛好者を魅了した。機会を改めて紹介したいと思っている。

 カティーサーク号は陸に上がって保存されていた。先年火災に会い心配したが私が訪れたのはその以前で、嘗ての美しい姿をそのままに残していた。乗船見学が出来たので船内隈なく回遊し要所要所の形状を眼に焼き付けカメラに収めて十二分に満足した。

 特に興味を抱いていたのがリギングでマスト・ヤードに結ばれた無数のロープの幾何学的な造形に感無量になりつつ見学した。本物の凄さに感動しながら何時かこの船の模型製作に挑戦したいという気持ちが心に充満したのを覚えている。

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       テムズ河グリニッジ港公園に保存されているカティーサーク号の全景

 

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              カティーサーク号の船首部と船尾

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       カティーサーク号の甲板と船室・内部に飾れたフィギアヘッドの数々

          

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              上空に聳えるマスト・ヤードの雄姿

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          幾何学的に交錯するロープ。感激と憧れが湧き出でる。





 

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見る船・乗る船・作る船〔11〕

見る船〔6〕海王丸    1988年6月4日名古屋港

 海王丸日本丸の姉妹船で共に運輸省の練習帆船である。海の貴婦人と称されて世界の海を疾走する姿に多くの帆船ファンは憧れて寄港を待ち受けている。日本丸を見学して2年半が経ち待ち遠しかった海王丸が名古屋港に寄港した。初夏の一日、家内と二人で薫風のガーデンふ頭にその雄姿を求めて駆け付けた。

埠頭に接岸した海王丸は既に見学者を受け入れ、順番を待つ多くの帆船ファンが列をなして乗船口に並んでいた。

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        乗船見学を待つ帆船ファンで一杯の海王丸見学会場

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  海王丸の船名をカメラに収め、何時の日かこの船の模型を造りたいと心に誓った。

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仰ぎ見るリギング。聳えるマスト・ヤードに複雑に交錯する無数のロープが幾何学的に展開する美しい造形美が頭上に迫っている。帆船ファン冥利に尽きる一瞬である。

こんな難しい近代的な船の模型製作に挑戦するにはどれ程の技術習得が必要になるのかと呆然と考えた。

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 帆船を写すために新調したペンタックス一眼レフで捉えた海王丸の後姿全景である。





 

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見る船・乗る船・作る船〔10

作る船〔5〕スウェーデンの砲艦  1988年3月14日完成

私の作品の中で一番小型の帆船模型である。

遠隔地に住む恩人への贈呈を目的に選んだ船であるが、完成してみると意外に寸法が嵩張り、ケースに入れて飛行機や列車内に持ち込むのは面倒だと判明した。

そのため我が家の書斎の片隅で最後までおとなしく居座った。

小さな船であるが製作にはそれなりの技術・知識が必要で、外板張りや甲板艤装や喫水線の塗装などに苦労した。

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大砲は船尾に一門あるだけであるが前後に砲身が伸縮するように作らっれており、ガレー船のように並ぶ櫂の優美な姿がこの船の見どころである。

小型であるが見飽きのしない乙な帆船模型である。

2021年10月10日日曜日、我が家改築解体を控えて飾り場所を無くし廃船となり姿を消した。

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見る船・乗る船・作る船〔9〕

    見る船〔5〕四日市港の日本丸

               1987年2月23日・友人M君の協賛写真

 私の帆船模型製作への趣味が高揚する中、会社の同僚・友人たちにも同感する機運が広がり、話題提供に恵まれた。当時新型カメラを購入し被写体を求めて各地の名所を訪ねていたM君(故人)が地元四日市港に寄港した日本丸の見学会に参加して美しい船影と乗船見学の様子を撮影し寄贈して下さった。私自身日本丸は既に見学していたが、M君の写して呉れたフルセールの写真や見学会場風景、更にはロープ・リギングの写真などは新鮮で喜んで頂戴し、特に正面から見た船影は気に入って額に入れて机の前の壁に飾っていた。今度家を改築するに当りスペースが無くなりお別れしたが長きにわたり私の心に安らぎと希望を与えて呉れ続けてマスコットであった。

 今、故人との長い付き合いを思い出しながら日本丸の美しい船体・帆装に見とれている。

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  昭和62年(1987)2月23日・四日市港桟橋でフルセールした日本丸の雄姿

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注釈・投稿文を書きながら気が付いたが、見学者の服装や周囲の情景は冬期2月を感じさせていない。半袖シャツや日傘等はむしろ夏の雰囲気である。ひょっとするとM君のカメラ日付が間違っていたのではないかという疑念が湧き出した。

 

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見る船・乗る船・作る船〔8

見る船(4)エスメラルダ号・チリ海軍練習帆船

神戸港寄港1987年(昭和62年)5月3日(日)~4日(月)見学

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        フルセールで帆走中のエスメラルダ号

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 世界の帆船の中でも最も有名な船の一つに挙げられているチリのエスメラルダ号が日本を訪問し神戸港に寄港するという事で、帆船熱に昂じていた私にとって何が何でも観に行きたいと会社を休んで家内と二人ずれで神戸港にやって来た。縦帆が4本並ぶ独特の帆船が新しく出来たポートターミナルの桟橋に横付けにされていて圧倒された。

 その時にメモした記録が残っていたので下に掲載した。走り書きの粗雑なメモであるが当時の興奮した記憶が蘇ってくる。

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 帆船を写すために新調した一眼レフの望遠レンズで美しい船体を捉えようと頑張ったが今のようなデジタルカメラではないのでフィルムの残枚数を気にしながらの撮影であった。乗船見学の写真が見付からず残念であるが、港内遊覧船から写した写真が残っていたので下に掲載した。

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    神戸港の桟橋に停泊しているチリ海軍練習帆船エスメラルダ号