人生の軌跡・流郷松三郎の残思録

米寿に想う我が人生

1970年の秋【4】

初の海外旅行【4】給油地 アラスカ・アンカレッジ空港

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     アンカレッジのスプーン                  

1970年当時、日本からヨーロッパへの直行便はなく北回りの場合はアメリカ・アラスカ州のアンカレッジ空港で途中給油したあと、北極上空を通過しスカンジナビア半島上空から目的地に向かうコースが設定されていた。飛行時間は凡そ16時間であったと思う。

 

羽田を出発して6時間でアンカレッジに到着、初めての海外旅行という事で緊張していたが、待機時間中に移動したターミナルビルの売店でスプーンを見付け購入した。

公式訪問国ではないが最初に足を踏み入れた外国であり、スプーン集めの先達と考えて躊躇せずに購入した。これから訪問する国や都市でどんな形でスプーンと出会うのか分からないが、とにかく見付けた時が買い時で、チャンスを逃がさないようにするのが大切だと自分に言い聞かせ先ずは1本目の獲得と相成った。

スプーンはやや大きめのクローム製で手持ちする頭部の先にトーテム・ポールの飾りが付けられている。イメージして来たヨーロッパ各国の記念スプーンとは若干デザインが異なるが、トーテム・ポールの付け根にALASUKAの文字が彫り込まれているのを見て、これがお国柄を象徴するお土産スプーンであると納得した。

又、このスプーンが外貨での買い物第1号でもある。

今でこそ日本の外貨保有量は豊富で個人取引も自由であるが、当時外貨はまだ貴重品の時代で私は700ドルをドルであとは日本円を持参した。

ドルは全てトラベラーズチェックとして到着地毎に各国通貨にチェンジするように計画設定し、途中必要に応じて円で補充することでドルが最後まで残るように調整した。

アンカレッジのスプーン代金は3ドルであったのでこれから先の各地での購入金額を頭に入れつつスプーン集めの計画が成就できることを願ってアンカレッジを飛び立った。

飛行機は高度を上げ眼下の大地が果てしなく雪に覆われる中、やがてマッキンレーの高峰が嶮しく近付いて来るのを窓から眺めるうちに早くも2度目の夜がやって来た。