人生の軌跡・流郷松三郎の残思録

米寿に想う我が人生

1970年の秋【9】

初の海外旅行【9】ストックホルム滞在(1)

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 スウェーデンの単位通貨はクロナで1クロナ69円59銭、対ドルレートは0.19であった。補助通貨はオーレで100オーレが1クロナである。レートに差があるが呼称はデンマークと同根でノルウェーを含めて北欧3国では共通である。

 ストックホルム到着時に空港バンクで150ドル交換した。この時の空港交換率が1:5.17=7755クロナであったから日本円53967円(54000円)となり固定相場率ピタリであった。

 ヨーロッパ10ヶ国を訪問するたびに通貨を交換する訳で煩雑で混乱するので煩わしいと嫌がる面々が多かったが、私は気にしなかった。

 通貨はその国の文明の生きた証であり、国情を民情が凝縮した最高の有形文化財だと認識して関心を持って馴染み接する事に努力した。

 国を移動し新しい通貨と交換するたびに各国訪問の実感が増すことを発見し、訪問の記念としてコイン1枚ずつは忘れずに残していくと心に言い聞かせ実行した。

 スプーン集めと併行した海外旅行の思い出として今では貴重な存在となっている。

上の写真は50オーレコインでストックホルム中心街のMK百貨店でコスタのガラス細工土産を購入した時に釣銭として受け取った小銭である。

 海外旅行の大きな関心事は食事である。 

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 私は折角の海外旅行であるので出来るだけ現地の食文化に触れたいというのが本音であったが、先輩の皆さんの多くが出来れば日本食希望で、意思表示されると中々逆らえない。特に初日という事もあってまだ日本気分が抜けきらない様子であったが、偶々ストックホルムでは見付からず、それならという事で中華料理に落ちついた。「香港」という名のレストランでメニューは豊富であったが料金がとても高かったのを覚えている。上はその時の写真で座席についてこれから料理の注文をするというタイミングで未だグラスには水もワインも注がれておらず歓談の一時である。 

 朝食はホテルのブレックファーストで洋式で済まし、ランチは会議の前後となるので相手側と会食することが多かった。

 問題は夕食で二日目の夜も迷った挙句、結局中華料理という事になり東洋の気分が抜けきらなかったが3日目はコーディネータの先生が是非に地元の伝統料理を推奨し古城のような雰囲気のレストランでトナカイの肉料理を味わった。

 初日のランチで飲んだ白ワインとは対称的な豊穣な赤ワインと初めて味わったトナカイの肉の感触は北欧の思い出として舌に残されたのが忘れられない思い出である。