人生の軌跡・流郷松三郎の残思録

米寿に想う我が人生

1970年の秋【20】

初の海外旅行【20】フランス(3)公式会議とパリ観光その2

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フランス <労働者の力・FO>との会議風景・23日午後

 パリでの公式会議はフランスの労働者全国組織である<労働者の力>とフランスの労働事情と公害問題について討議した。

 労働運動の進め方などについて意見交換がなされたが、日本との違いが多くあり充分理解することが出来なかったと思い返している。又、公害問題ではモータリゼーションの進行による大気汚染が深刻になっている事と水質汚染対策が急務であることが提起されていた。

 余談であるが会議の途中でティータイムが持たれ飲み物のリクエストがあったが、リストはすべてアルコール類であったのには驚いた。スコッチかブランデーかシャンパンかビールかワインか何でもあれで、コーヒー・紅茶の類は紹介されなかった。

 結局全員が何れかの酒類をオーダーしたが、私はシャンパンを頼み軽い酔いを覚えつつ後半の会議に加わったのを覚えている。所変われば慣行も異なると心得てのヨーロッパ訪問であったが、会議の休憩時間とはいえお酒のサービスは初めてで、接待の一環なのか当時の日常的慣行なのかは分からずじまいであった。
  (写真は会議の始まり風景で、飲み物のグラスはまだ出ていない)

 

 

 

翌10月24日土曜日はフリータイムで休養と観光とハガキ書きで一日を費やした。 

 ところでお土産の購入で今一つ面倒な事が残っていた。お世話になっている会社の先輩(兄貴分)から〝流んちゃん、パリへ行ったらモンマルトルの丘という所で画家の卵たちが描いている絵を買って来て呉れよ〟と注文が付けられた。ご当人は簡単に言われたが画家が描いている絵を選んで買ってくるという事は中々大変である。画種・画題、大きさ、金額など選択肢が多様であるうえ持ち帰り方法も考えると簡単ではないが、餞別も戴いており断るわけにもいかず拝聴して出掛けてきた。ご本人に絵画の趣味があるとは思えなく、唯モンマルトルの話題提供位の積りかと察したが、聴き流しも出来ないお方の依頼であった。

 モンマルトルの丘はパリ観光の目玉でもあるので当日午後から仲間数人で連れ合って先ずサクレクール寺院を見学し、その足で画家が大勢絵描きしてい居る青空広場に赴いた。パリ名物の一つであるだけに観光客も多く、似顔絵描きや出店も軒を並べているが、土産話にもなるので画家書きたての絵が好ましいと思い数巡すると目星の画家が見付かった。

 油絵の風景画で具象に近いタッチであるが、いざ買うとなると一点だけでは先輩の好みに合わないかもしれないと思い、この際一点は自分用になっても良いので趣向の異なる画題の絵2点を購入した。

 選んだ画題は“サクレクール寺院の近影“と”モンマルトル広場風景“の2景である。
 大きさは共に4号ほどのB4大であったが、うち一点は書き上げたばかりで乾き切っておらず、画家が緩衝材を挟んで持ち運べるように紐で縛ってくれた。旅行はまだ半分以上を残していたので道中大切に手持ちし、画面を痛めず日本に持ち帰った。

 帰国後額装を施した後、先輩が選んだのは“サクレクール寺院“で、“モンマルトル広場風景“が私の手元に残りパリ訪問の良き記念となっている。 

 下に掲出した写真が“モンマルトル広場風景”のキャンバス画で50年を経て年期だけは重ねているが、画家の名前は判らず、サインもないので価値の程は分からない。

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 モンマルトル広場風景・27cm✖35cm・・左隣スプーン(大きさ比較)

 

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先輩の土産となったサクレクール寺院の風景

ホテル帰着後、買い集めた土産品の整理・収納と日課であり義務となっている絵葉書書きに専心し、パリ最後の夜を過ごした。