人生の軌跡・流郷松三郎の残思録

米寿に想う我が人生

1970年の秋【25】

初の海外旅行【25】ドイツ訪問(4)ボン・その2ベートーベン生誕地

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ボン市ミュンスター広場に建つベートーベン像とハウス内に飾られた肖像画

1970年10月27日、ライン河畔で昼食をとった後、ボン市中心部に移動し徒歩でミュンスター広場に赴き、楽聖ベートーベンの像に対面した。クラシック音楽愛好者にとっては聖地のシンボルで崇敬の念を抱きつつ仰ぎ見た。

 時あたかも生誕200年の年を迎え、日本でもサヴァリッシュ指揮のNHK交響楽団によるベートーベン記念ツイクルスが開かれ、またレコードの記念発売も行われていたので音楽ファンにとっては意義深い訪問であった。奇しくも今年2020年は生誕250年の年であり、50年の歳月を通じてベートーベンの音楽を聴き続けている自分の人生の軌跡を思い浮かべて感無量に浸っている。

 

 

当時ボンの街は静かでお祭り騒ぎをしている雰囲気は全く感じなかったが、広場から大通りを経て小路に入りベートーベンの生家前に到着した時には、満身に幸福感が漲ったのを覚えている。

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ベートーベンハウス到着と入館券と庭から見上げた風景・1970年10月27日写す

 玄関扉を開けたところで入館券を求めて中に入ると広い1階はエンタランス・ホールでベートーベンが生まれた1770年当時のボンの街の資料が多く展示されていた。
 2階は五つの部屋に分かれており、ベートーベンの生誕から晩年に至る生活と作曲活動に係わる楽器、楽譜、手紙、額絵、身の回り品などが展示されており、愛用したピアノなどを目の当たりにして深い感動に襲われた。

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ベートーベンハウス・2階展示室と屋根裏の生誕部屋に飾られた胸像

 上写真左側はベートーベンが晩年に使用したピアノである。鍵盤を叩いたような記憶があるが定かではない。
 右の写真はベートーベンが生まれた屋根裏部屋の記念胸像である。傾いた窓から淡い光が差し込み床の中央を照らしている静かな光景に心を打たれつつ、ベートーベンの音楽に親しんで来た自分の人生を顧みた。

 一階に降りて記念の品選びで購入したのが下に掲載したレコードである。

 ピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27の2「月光」で、演奏者のエルンスト・グロッシェルは知らないが、演奏しているピアノはベートーベンゆかりのオリジナル楽器である。下右側は入館時に貰った案内パンフであるが、裏面がお土産レコードのカタログとなっており、中央頁の上から3段目に私が購入したレ

 

コードが記載されている。因みに17,5センチのLPで価格は8西ドイツマルク(約800円)であった。このレコードは今でも健在で本稿執筆前夜に針をおろし、二百数十年を遡るオリジナルピアノの音に耳を傾けてボン訪問を回顧した。

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お土産に購入した月光ソナタのレコードと案内パンフのカタログ・中央3段目

 館内を見学後に裏庭に出で写真を撮った(上段入館券写真の右)がその時に庭に落ちていた木の葉を拾ってきた。アルバムに挟んでおいたので50年経った今も押し葉として健在である。

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ベートーベンハウスの庭の落葉(1970年10月27日拾う)